安心・安全のもとで治療できるように、患者さん自身も正しい知識と理解を得て置く必要があると思います。
今回は治療の原理について知っていきましょう。
まずもって、あごの骨に植えられている歯を一体どうやって動かすでしょう。この根本的な原理を知っておく事は、長い期間治療を覚悟する上でとても重要です。
歯というのは、正確には直接あごの骨に刺さっているのではありません。骨と歯の間の歯根膜という部分を介して、間接的にあごの骨の穴に植わっているのです。
この事はまずもって知っておくべきでしょう。
そして適当な物理的力を歯に加える事によって、歯根膜が圧迫され、その刺激で付近の歯槽骨が次第に吸収されます。こうして歯は少しずつ位置を変えるのです。
矯正治療はこの原理を利用したものになります。
歯根の表面積1平方㎝あたり80gの圧力をかけるの最適であるとしています。加える力の強さ・方向・各歯相互間に働く力の関係も精密に計算して、最終的な予測デザインに基づいて治療へと移っていきます。
歯の移動量は最初の段階だと、1か月で約1mm動くとされます。そして治療していくにつれ次第にその早さは加速していきます。1㎝動かそうとすると、7~8か月はかかるのです。
出っ歯、反対咬合の治療で、出過ぎているあごをひっこめる為には、あごの骨の改造も必要となってきます。
あごの骨に力を咥えていくのですが、力の量は歯の場合よりも更に大きくなります。
また、加え方も全然異なります。
極端に大きい下あごの治療となると、骨を切るという手段もあります。